自作ドローンの設計から飛行テストまでの手順とポイント

ドローンの自作には多くのメリットがあります。
まず、自分でドローンを作ることで、自分だけのオリジナルドローンを手に入れることができます。
また、ドローンの仕組みや性能について学ぶことができるため、ドローンに関する知識が深まります。
しかし、初めてのドローン自作には、何をどうすればいいのか分からないという方も多いかもしれません。
本記事では、初心者でもわかりやすく、基本的な手順と必要なパーツについて紹介します。
是非、この機会にドローン自作にチャレンジしてみてください。

ドローンの自作は可能?

ドローンの自作は難しいと思われがちですが、必要なパーツを用意し正しく組み立てれば誰でも自作することが可能です。
「工作が好き、電子工作の知識を活かしたい」「レースで最速を極めたい」など、ドローンを自作する目的は様々です。
ドローンは航空法や小型無人機等飛行禁止法、電波法など様々な法律が関係していますが、ドローンの自作そのものは規制されておらず、特別な許可や資格を得ていなくてもすぐに作り始めることが可能です。
ただし、法律や自治体の条例により規制された場所や飛行方法で自作ドローンを飛ばす場合は、既製品と同じく飛行許可申請を行わなければならず、 申請の際は自作機であることに加え、機体の製造者・名称・最大離陸重量・製造番号の明記が必要です。

ドローンを自作するのに必要なパーツとは?

ドローンを自作するには、いくつかのパーツが必要になります。

最も基本的なパーツはフレーム、モーター、プロペラ、バッテリー、コントローラーの5つです。
その他にも、カメラやGPSなどのオプションパーツを取り付けることもできます。

フレームは、ドローンの骨格となる部分で、各パーツを取り付けるための台座があります。素材には、カーボンファイバー、アルミ、プラスチックなどがあります。
モーターは、プロペラを回転させるための部品で、直流モーターを使用します。
プロペラは、空気を押し出すことでドローンを浮上させます。
バッテリーは、ドローンを飛行させるための電源で、適切なものを選ぶことが重要です。
コントローラーは、ドローンの操作を行うための装置で、操縦者の操作によってドローンを制御します。
これらのパーツを選ぶ際には、性能や互換性にも注意が必要です。
次章では、選び方や性能について詳しく説明します。

パーツの選び方と性能の基礎知識

ドローンを自作するためには、各パーツの性能や互換性を理解することが重要です。
ここでは、各パーツの選び方と性能の基礎知識について解説します。

まず、フレームの素材には、一般的に軽くて強度が高いカーボンファイバーが使われます。
モーターの性能には、回転数やトルクなどがあります。
ドローンの大きさに応じて、適切なサイズを選びましょう。
プロペラのサイズは、モーターに合わせて選ぶ必要があります。
また、プロペラの数が多いほど、空気を効率的に押し出すことができるため、安定した飛行が可能になります。
バッテリーの性能には、容量や電圧、放電率などがあります。
ドローンの大きさや重量、飛行時間に合わせて適切なものを選びましょう。
コントローラーは、ドローンの操作性や機能に応じて選ぶことができます。
また、カメラやGPSなどのオプションパーツを取り付ける場合には、互換性にも注意が必要です。
これらの基礎知識を理解することで、自分に合ったパーツを選ぶことができます。
次章では、実際にパーツを組み立てる手順について解説します。

ドローンの組み立て手順

ドローンを作る基本的な手順は、以下の通りです。
1.フレームを組み立てる
2.モーターをマウントする
3.ESCを取り付ける
4.FCを取り付ける
5.VTXを取り付ける
6.アンテナを取り付ける
7.支柱(スタンドオフ)を立てる
8.カメラを取り付ける
9.天板を取り付ける
10.電源が入るか確認する


ドローンを自作するためには、パーツの選定とともに組み立て作業も必要です。
ここでは、ドローンの組み立て手順について解説します。

1.フレームを組み立てる

まず、ドローンのベースとなるフレームから組み立てます。
ネジやドライバーを使い、プレートにアームを取り付けましす。
フレームを構成するパーツや組み立て方は製品によって異なりますが、基本的に難易度の高い工程ではなく、最初のうちは手間取っても、慣れればスムーズに組み立てることができます。
フレームには設計図がないため、自分で考えながらゆっくりと自由に組み立てましょう。

2.モーターをマウントする

フレームを組み立てたら、各アームの先端にモーターをマウントします。
モーターが上手く回転しないとプロペラも回らず、ドローンを正常に飛行させることができません。
アーム先端の上下左右4つの隅にネジをしっかりと留めてモーターを固定しましょう。
モーターを取り付けたら、その上に同じくネジでプロペラも取り付けます。

3.ESCを取り付ける

ESCはフレームの向きに合わせて取り付けます。
製品によっては基盤部分に矢印などでESCの向きが示されているため、参考にしましょう。
なお、矢印ではなく基盤部分の四隅に印字された1~4の番号で向きが分かる場合もあります。
ドローンの機体後方を自分に向けたとき、各番号が以下の位置になるよう取り付けましょう。
  • 1:左手前
  • 2:左前前方
  • 3:右手前
  • 4:右前方
  • ESCを取り付けたら、マウントしたモーターをはんだ付けで接続しましょう。
    ESCにはモーターとの接続位置となる四隅に3本ずつ端子があり、それをモーターの端子に接続します。
    次にESCへバッテリー接続端子をはんだ付けします。
    基盤部分にあるプラス端子・マイナス端子にはんだ付けしますが、このとき必ずESC側にオスがくるように付けましょう。
    オスとメスが逆になると、バッテリーがショートする恐れがあります。
    また、必ず赤い配線ケーブルをプラスに、黒い配線ケーブルをマイナスにはんだ付けします。

    4.FCを取り付ける

    ESCにフライトコントローラーを接続します。
    主な接続方法としては、以下の3通りです。
  • はんだ付け
  • コネクタケーブル
  • 双方の基盤同士をピン端子で接合する
  • はんだ付けまたはコネクタケーブルで配線する場合、フライトコントローラーに付属している図面をよく確認しながら正しい配列で接続しましょう。
    配列を間違えると、フライトコントローラーの故障につながります。
    フライトコントローラーとECSがセットになった製品の場合は、基盤同士をピン端子で接合するパターンが多いです。
    双方の基盤をピン接合するだけなので配列を間違えることはありませんが、上下方向のクリアランスが大きくなりフレーム内に収めることが難しくなる可能性があります。
    接続できたら、フライトコントローラーをフレームにマウントしましょう。
    ESCと同じくフライトコントローラーにも向きがあり、矢印などで前方にあたる箇所が表記されています。

    5.VTXを取り付ける

    FPVドローンを作る場合は、フライトコントローラーにVTXを接続しましょう。
    VTXの基盤には「VIDEO_IN(RX)端子」と「5V、Ground端子」があり、接続するべきフライトコントローラー側の端子が異なります。
  • 【VTX側】VIDEO_IN(RX)端子→【FC側】VIDEO_OUT(TX)端子
  • 【VTX側】5V、Ground端子→【FC側】5V、Ground端子
  • なお、VTXに「VBAT端子」があるときは以下のように対応します。
  • 5V端子は使わない
  • VTXのVBAT端子を、フライトコントローラーとESCのVBAT端子に接続する
  • VTXのGround端子を、フライトコントローラーとESCのGround端子に接続する
  • VTXを接続したら、フレームにマウントします。
    できるだけESCやフライトコントローラーとの間隔を確保して、排熱の影響が少なくなるよう考慮しながら組み込むことが大切です。
    また、VTXには電波を受信するアンテナがついています。
    フレームのどこにアンテナを出すのかをあらかじめ決めてから搭載しましょう。
    組み立て中にアンテナを取り付けないままVTXの電源を入れると発熱するため、注意が必要です。

    6.受信機を取り付ける

    先述の通り、送信機と同じ通信規格の受信機を取り付けます。
    受信機はフライトコントローラーにはんだ付けで接続するため、フライトコントローラーの基盤図面を参考に受信機用の端子を確認しましょう。
    受信機からは、以下3本の配線が出ています。
  • 5ボルト(赤)
  • Ground(黒)
  • S.BUSなどの信号線(白)
  • 上記3本の配線を、それぞれフライトコントローラーの端子に接続します。

    7.支柱(スタンドオフ)を立てる

    ESC・フライトコントローラー・VTXの取り付けが完了したら、天板を固定するための支柱を取り付けます。

    8.カメラを取り付ける

    FPV飛行や空撮をする場合は、カメラの取り付けも必要です。
    FPV用カメラの場合は3本の配線が出ており、それぞれ以下のようにフライトコントローラーへ接続します。
  • 【カメラ側】信号線(VIDEO_OUTまたはTX端子)→【FC側】VIDEO_IN(またはRX)
  • 【カメラ側】5V(VBAT端子)とGround端子→【FC側】5V(VBAT端子)とGround端子
  • 9.天板を取り付ける

    すべてのパーツを搭載したら、仕上げに天板を取り付けます。
    必要に応じて、バッテリーを固定するベルクロファスナーも取り付けます。

    10.電源が入るか確認する

    正常に電源が入るかを確認します。
    余裕があればESC・フライトコントローラー・VTXを接続する各工程でも電源を入れて見ると、万が一のトラブル時に原因を特定しやすくなります。
    正常に電源が入ることを確認したら、各パーツのケーブルを結束バンドで固定しましょう。
    ドローンの組み立てが一通り終わったら、「Betaflight」と呼ばれるファームウェアをインストールしたパソコンとフライトコントローラーを接続し、各種設定を行うパターンが一般的です。

    ドローンの調整とテスト飛行

    ドローンの組み立てが完了したら、次に調整とテスト飛行を行いましょう。ここでは、ドローンの調整とテスト飛行について解説します。

    1.PID調整

    PID調整は、ドローンの飛行性能を調整するための重要な作業です。
    PIDとは、Proportional, Integral, Derivativeの略で、ドローンの飛行状態を計測し、その値に基づいてモーターを制御します。
    調整には、専用の調整器やフライトコントローラーを使用します。

    2.モーターのバランス調整

    モーターのバランスを調整することで、ドローンの安定性を向上させることができます。
    バランス調整は、プロペラを取り外し、各モーターの回転バランスを測定します。
    調整には、専用のモーターバランサーを使用します。

    3.テスト飛行

    ドローンのテスト飛行は、組み立てや調整の最終チェックです。
    まずは、安全な場所での飛行を心がけましょう。
    飛行前には、バッテリーの充電状態や気象条件、周囲の状況などを確認します。
    また、コントローラーの操作性も確認しましょう。
    テスト飛行時には、まず低空飛行から始め、安定性を確認します。
    その後、高度を上げながら機体の操作性や挙動を確認しましょう。
    また、風の影響やバッテリーの消耗にも注意が必要です。
    以上が、ドローンの調整とテスト飛行についての基本的な手順です。
    正確に調整し、安全なテスト飛行を行って、快適なドローンライフを楽しみましょう。

    ドローンのカスタマイズとアップグレード

    ドローンをカスタマイズすることで、より快適な飛行体験を得ることができます。
    また、アップグレードすることで、より高性能なドローンに進化させることもできます。
    ここでは、ドローンのカスタマイズとアップグレードについて解説します。

    1.カメラの搭載

    ドローンにカメラを搭載することで、空中からの映像や写真を撮影することができます。
    カメラの搭載には、カメラマウントや映像伝送機器、専用の操作装置などが必要です。
    また、カメラの画質や解像度にも注目しましょう。

    2.GPSの搭載

    GPSを搭載することで、ドローンの自動飛行や位置情報の取得が可能になります。
    GPSの搭載には、GPSレシーバーやGPSアンテナ、専用のフライトコントローラーなどが必要です。
    また、GPSの精度や機能にも注目しましょう。

    3.プロペラの交換

    プロペラの形状や材質を変えることで、ドローンの飛行性能を向上させることができます。
    高速飛行に適したプロペラや、静音性の高いプロペラなどがあります。
    ただし、プロペラの交換には、モーターとの互換性やバランス調整に注意が必要です。

    4.バッテリーのアップグレード

    バッテリーの容量を増やすことで、ドローンの飛行時間を延長することができます。
    また、高出力のバッテリーを使用することで、モーターの出力を向上させることができます。
    ただし、バッテリーのアップグレードには、ドローンの構造や仕様に合わせた適切なバッテリーを選ぶ必要があります。
    以上が、ドローンのカスタマイズとアップグレードについての一例です。
    ドローンの性能や機能を向上させるために、慎重かつ適切なカスタマイズやアップグレードを行いましょう。

    まとめ

    ここまで、ドローンの自作方法について解説してきました。
    ドローンの自作は、手作りの楽しさや、自分で作り上げたドローンでの飛行体験の満足感など、多くの魅力があります。
    ただし、ドローンの自作には、電子回路や機械加工に関する知識や技術が必要です。
    また、安全面にも十分に注意し、事故やトラブルを防止しましょう。
    ドローンの自作に挑戦する際には、以下のポイントを抑えておくことが重要です。
  • 設計や製作に必要な知識や技術を学ぶ
  • 安全面について十分に考慮し、事故やトラブルを防止する ・自分の目的や用途に合わせた仕様を設定し、必要なパーツを選定する
  • ドローンの調整やテスト飛行を行い、不具合や問題点を修正する
  • 以上のポイントを守りながら、自分だけのオリジナルドローンを作り上げてみましょう。
    自分の手で作り上げたドローンでの飛行体験は、一生の思い出になることでしょう。

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