農業用ドローンの種類や役割・注意点について

近年では、ロボットやドローンなどを活用するスマート農業が普及されています。
人手不足に悩んでいる場合でも、ロボットやドローンを導入すれば効率的に作業を行うことが可能です。
この記事では、農業用ドローンの特徴や選び方などをわかりやすく紹介します。

農業用ドローンの特徴

農業用ドローンは、一般的なドローンと比較して本体やプロペラが大きなサイズであることが特徴です。
機体下部には農薬散布用のタンクが搭載されており、防水・防汚コートが施されている機体もあります。
世界的にも農業用ドローンは急速に普及しており、世界市場では2020年に12億米ドルとなっており、2025年に57億米ドルに到達すると予想されています。

農業用ドローンの種類

農業用ドローンとして主に活用されているのは、以下の2種類です。
  • マルチコプター型
  • 固定翼型
  • マルチコプター型は複数のプロペラを有しており、固定翼型は長時間飛行が可能となっています。
    そのなかでも農薬散布ドローンや苗木運搬ドローンなど、目的に応じて活用するドローンは異なるため、注意して選びましょう。
    農薬散布ドローンを選ぶ場合は、タンク容量や最高時速、最大飛行可能時間や最大散布面積などもチェックすることが重要です。
    また、防滴仕様のドローンを選べば、天候に左右されず農薬散布を行えることがメリットです。

    農業用ドローンの役割

    農業用ドローンには、以下のような役割があります。
  • 肥料・農薬の散布
  • 受粉
  • 農作物の運搬
  • 鳥獣被害対策
  • 麦や米の種まき(播種)
  • 農地の空撮
  • 雑草や病害虫の発生状況の確認 最も多く使われている用途は、農薬や肥料の散布です。
    農薬や肥料、受粉などの作業が農業用ドローンで行えることで、作業時間の大幅な短縮を可能にします。
    さらに、マルチスペクトルカメラを搭載している農業用ドローンなら、高度な分析が可能となる点がメリットです。
    また、赤外線カメラを搭載しているドローンを使用すれば、鳥獣の生息状況を確認できます。
    鳥獣対策に活用できることで、農作物の被害を最小限に抑えられるでしょう。

    農業用ドローンを導入する際の注意点

    さまざまな役割を担える農業用ドローンですが、導入する際には以下の5つの注意点を抑えておく必要があります。

    初期投資と維持費がかかる

    農業用ドローンは一般的な相場が100~300万円前後で、維持費は年間で20万円以上かかることが特徴です。
    高額な費用が必要となることから、導入する際には慎重にならざるを得ないことも少なくありません。
    費用をかけずに農業用ドローンを導入したい場合、複数の農家で共同購入するのも1つの方法です。

    操縦能力を身に付ける必要がある

    農業用ドローンの重量は10~25kg前後あるため、落下事故を起こさないよう慎重に操縦できるスキルが求められます。
    さらに、操縦スキルだけではなく、ドローンに関する法律の知識も学ぶ必要があります。

    バッテリーの取り扱い

    ドローンのバッテリーは、リチウムポリマー電池かリチウムイオン電池が採用されています。
    これらのバッテリーを過剰な充電をして放置すると発火する可能性があるため、注意しましょう。
    さらに、バッテリーを長期間高温にさらすことで発火する恐れもあります。
    バッテリーを保管するときには、耐火性の容器を準備して保管するよう心掛ける必要があります。

    農薬散布は国土交通省への申請が必要

    ドローンによる農薬散布や輸送は、航空法における「危険物の輸送」「物件投下」に該当するため、ドローンの農薬散布を行う際には、国土交通省へ申請する必要があります。
    併せて、安全を確保して農薬散布するために、農薬取締法の「空中散布ガイドライン」を事前に確認しておきましょう。
    飛行を申請する際には、飛行開始予定日の10開庁日前までに、飛行予定場所を管轄する空港事務所か地方航空局に申請する必要があります。
    安全確保のための基準に適合していることを示せる書類や資料を提出する必要があるため、早めに申請の準備をしておきましょう。
    万が一、機体事故や紛失などがあった場合は、地方航空局へ報告します。
    さらに、農薬の流出やドリフトなどの事故が発生した際には、都道府県の農薬指導部局へ報告するようにしましょう。

    最大離陸重量が25kg以上では厳しい基準が設けられている

    ドローンの最大離陸重量が25kgを超える場合は、以下のような追加基準が設けられています。
    • 想定される全ての運用に耐えうる堅牢性を有する
    • 100時間以上の飛行に耐えうる耐久性を有する
    • 通信が他の機器に悪影響を与えない
    • 発動機やモーター、プロペラが故障した場合でも破損した部品が飛散する可能性が低い構造である
    • 事故発生時の原因調査を行うために飛行記録できる機能を有する
    • 通信系統や推進系統などの不具合に対し、適切なフェールセーフ機能を有する
    海外のドローンを注文した場合は、以上のような事項が確認できないことも少なくないため、最大離陸重量が25kgを超えるドローンを導入する際には、日本の大手メーカーのドローンを導入すると安心です。

    まとめ

    農業用ドローンは、導入することで人手不足を解決できることが大きなメリットだと言えます。
    費用を抑えたい場合は、共同購入したりリースしたりしても良いでしょう。
    農業用ドローンを選ぶ際には、安さだけで決めるのではなく、自身の農地の広さや目的に応じて選ぶ必要があります。
    最適な農業用ドローンを選び、スマート農業を始めてみましょう。

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