ドローンによる防犯監視の現状と課題

あらゆる分野で利活用されているドローンですが、近年では防犯監視分野でも期待が高まっていることをご存知でしょうか?
具体的には、ドローンによって警備員を代替するような働きが期待されています。
ご存知のセコムが世界初の民間防犯用のドローンを開発したり、様々な企業による実証実験がなされているため、実用化は比較的間近なのではないかと言われています。
とはいえ、ドローンには航空法をはじめとした様々な規制があるだけでなく、目視外飛行(自動操縦)は少し勇気がいるというのが現状です。
この記事では、ドローンによる防犯監視を実現することの意義と、実用に向けての課題について解説します。

警備・監視でドローンを活用する意義

防犯監視と聞いても中々イメージが付きにくいかと思いますが、主に監視カメラもしくは警備員によって行われています。
とはいえ、施設などの警備の場合、監視カメラを施設のそこら中につけたりすると費用がかさむため固定式の監視カメラだけでなく、移動可能である警備員が必要不可欠です。
人口減少社会である日本においては様々な産業で人手不足が叫ばれていますが、同様に警備業界も人手不足に悩まされています。
警備業務にドローンが活用できるようになれば、以下のようなメリットが実現できるでしょう。
  • 人手不足の解消
  • 人件費削減
  • 警備員が犯罪に巻き込まれるリスクの軽減
  • 人では立ち入りにくい場所の巡回が可能
  • ドローン巡回中は遠隔から状況を確認できるようになりますので、必ずしも現場に行く必要がないことに加え、スタッフ全員が屈強な警備員である必要もなくなります。
    さらに、ドローンに搭載したセンサーやサーチライト、スピーカーなどを活用することで、不審者に対する警告の実施や不審火などの異常を見つけることもできるでしょう。

    防犯監視分野でのドローン活用の課題

    ドローンは小型の航空機が上空を飛行するという性質上、警備や監視を実施する上では以下のような課題があります。

    天候などの影響を受ける

    ドローンを外部で飛行させる場合には、雨や風による影響が避けられません。
    警備需要は雨の日、雪の日、風の強い日、と、天候に関係なく存在します。
    屋内であれば問題ありませんが、警備や監視は365日継続する必要があるため、悪天候においても安定飛行ができるかという点が大きな課題です。
    その意味で、ドローンによる防犯警備分野は建物内の警備のほうが相性が良いともいえます。

    落下する可能性がある

    繁華街やイベント会場、テーマパークなど多くの人が集まる場所の上空でドローンを飛行させた場合、落下して下にいた人にぶつかったり、最悪の場合、ケガをさせたりしてしまう可能性があります。
    もしもの事態を考えると、人の少ない場所のほうがドローンによる警備は相性が良いと考えられます。

    防犯監視分野でドローンが注目されている理由

    警備業界は万年、労働力不足が続いており、その背景にあるのが警備業務の厳しい労働環境です。
    警備業務は真夏の暑い環境や冬場の厳しい環境はもちろん、豪雨や大雪でも実施しなければならないなど、非常に過酷な労働条件になっています。
    しかし、給与では適正な対価とは呼べないレベルのため、募集しても人が集まりにくいのが現状です。
    特に近年は海外から多くの人々がやってくることも想定されるため、警備・監視の質を上げることが急務な課題となっているのです。
    そこで、警視庁や新エネルギー・産業技術総合機構(NEDO)が、ドローンを活用した警備・監視の可能性を検討するため、民間企業などと連携をはじめるようになりました。

    ドローンを使った警備・監視対策の動向

    現在、セキュリティ会社などを中心にドローンによる防犯監視分野での実証実験などが行われている最中です。

    セコム株式会社

    セコムは早い時期からドローンを活用した防犯に注力している企業のひとつで、世界初の民間防犯用のドローンを開発し、以降山口県や神奈川県で警備システムとして活用をはじめています。
    さらに、遠隔操作ではなく自立型のドローンの実証実験もおこなっているなど、警備の省力化が実現できると期待されています。

    プロドローン株式会社

    プロドローン株式会社も早くからドローンを使った広域巡回の実証実験を実施している企業です。
    具体的には、4Gのモバイル通信ネットワークを活用し自律飛行する自前の機体を用いて遠隔巡回警備の実験を行うなどの取り組みがあるようです。
    4台のドローンのうち2台を俯瞰ドローン、残りの2台を巡回ドローンと役割分担することで、広範囲の警備・巡回業務を可能にしています。これにより、不審者や不審火を早期発見し、セキュリティの強化につなげていく見込みとのことです。

    T-FREND

    「T-FREND」は同社のビルメンテナンス業務の知見を活かし、屋内の警備・巡回ができる自立型ドローンの開発を進めています。
    深夜の警備はもちろん、社内で残業するスタッフを監視して早く帰るように促すなど、幅広い活用方法に期待が集まる状況です。

    まとめ

    ドローンによる防犯警備の意義と課題について解説しました。
    過酷な警備業務の労働力不足を解消し、警備・監視レベルを上げるためにはドローンの有効活用が必要不可欠といえます。
    屋外での実施にはいくつか課題は残りますが、今後技術がさらに発展すれば、多くの場所でドローンによる警備・監視が実施されるでしょう。
    ドローンによる防犯監視は実証実験が複数されており、実用化される未来も近いのではないでしょうか。

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