ドローンの電波干渉リスクと対処法とは

ドローンはプロポから発信する電波によってコントロールされています。
ドローンへの電波の伝わり方は、環境によって特性があり、電波干渉する可能性も少なくありません。
ドローン事故の原因に“電波干渉”が挙げられることはわかっていても、どのような場合に電波干渉が起きるのか、どのような対策法があるのかわからないという方は多いのではないでしょうか。
この記事では、電波干渉への対策や事故を予防する方法、電波のチェック方法などについて紹介します。

電波干渉とは

ドローンを操作するとき、目に見えない”電波”という波長を用いています。
電波干渉とは、無線電波を発生する機器同士で電波がぶつかり、お互い影響を与えることです。
プロポとドローンは電波でつながっていますが、電波が届く途中に障害物や媒体があると、電波が変化しコントロール不能になる場合があります。
ドローンなどの無線通信を行う無線局や高圧送電線からの放電、高層ビルなどの建物と建物の間などの場合、電波干渉が発生する可能性があります。

電波干渉への対策

電波干渉を受けやすい環境ではできるだけ飛ばさない

事前に飛行場所の環境を入念にチェックし、電波干渉を受けやすい場所で飛ばさないというのが事故を予防するための一番の方法です。
電波干渉のリスクが低くなるよう、ドローンの離発着場や 飛行経路を選択することが大事です。
電波干渉を受けやすい場所は大きく分けて以下の4種類です。
  • 人混みなど電波が混雑・混信しやすい場所
  • 高層建築物や岸壁など垂直に立った障害物が多い場所
  • 電波の発信源100メートル以内
  • 樹木の多い場所
  • 電波干渉を受けやすい4種類の場所について詳しく解説します。

    人混みなど電波が混雑・混信しやすい場所

    ドローンは、同じ電波帯を使用する機器(他のドローンやスマートフォンなど)の近くでは電波干渉を受ける恐れがあるため、他のドローンが飛んでいる場所や人混みは、電波が混雑しやすいので避けた方が良いでしょう。
    ドローンを飛ばす際に使用する2.4GHzという電波帯はWi-FiやBluetoothにも使用されており、そういった機器に近くや人通りの多い場所では電波干渉受けやすく、手元の映像が止まったり、最悪の場合操作不可に陥る可能性もあります。

    高層建築物や岸壁など垂直に立った障害物が多い場所

    高層ビル、岸壁など垂直に立った障害物が多い場所はできるだけ避けた方が良いでしょう。
    ドローンは、垂直に立った障害物の多い場所でフライトさせると、マルチパスという、同一の送信機から発信された電波が受信機側に複数届いてしまうことによって起きる電波障害を起こす可能性があります。
    電波はあらゆる方向に向けて飛んでいきますが、建物や地形の状態によって電波が跳ね返され、時間差で受信機に届いてしまうというケースがあり、この場合通信品質の低下を引き起こしてしまいます。

    電波の発信源100メートル以内

    電波の発信源の100m以内は飛行させないようにしましょう。
    ドローンの飛行中に近くに強力な電波が入信すると、受信機が遠くからの微弱な電波を受信しているときに近くにある強力な電波を受信してしまうことで、本来の正しい電波を受信できなくなってしまう「感度抑圧」という現象を起こしてしまう恐れがあります。
    ドローンが使用する周波数帯の近くには携帯電話の電波が存在しています。
    携帯電話回線の電波は非常に出力が強く、アンテナや基地局といった電波の発信源付近を飛行させてしまうと、ドローンの微弱な電波は簡単に抑圧されてしまいます。
    感度抑圧を起こすとRTH(リターントゥホーム)がかかったりドローンが暴走したりする恐れがあります。

    樹木の多い場所

    森の中など樹木が多い場所では、樹木にさえぎられると電波に損失を与えることがあり電波干渉を起こす可能性があります。

    自動帰還設定を行う

    自動帰還設定(リターントゥーホーム)を適切に行うことで、万が一電波を喪失した時にも機体を離陸地点に帰還させることができます。
    送信機と機体の通信が途切れた場合や、RTHボタンを長押しした際、ドローンは離陸地点に帰還するようになっており、この時にドローンは予め設定されたリターントゥホーム高度まで一度上昇してから、ホームポイントまで戻り着陸します。
    このリターントゥホーム高度は、必ず周囲の建築物や電線などよりも高い高度に設定しておおくことが重要です。
    DJIドローンの場合、メニュー選択ボタンの一番上にある「MCパラーメーター設定」からリターントゥーホームの高度設定を行います。

    できるだけ目視内で飛行させる

    申請手続きを行えば目視外飛行も可能ですが、業務上どうしても必要な場合を除いては目の届く範囲で飛ばしましょう。

    電波状況の異変を見逃さない

    電波の状況が不安定になると映像に兆候が現れることが多いので、ドローンの飛行中は異変を見逃さないようにすることが大切です。
    兆候はまず映像伝送系に見えることが多く、異変に気付いたら、速やかにドローンを帰還させましょう。

    ジオフェンス設定を行う

    ジオフェンス設定を行うことで、ドローンの紛失を予防することができます。
    ドローンは、最大高度と最大水平距離の中でしか飛行を行わないように設定することができ、この飛行範囲制限のことをジオフェンスといいます。
    最高硬度はどんなに高くても最大140m、水平距離は最大150m以内に設定しましょう。
    慣れるまでは、いずれも50mくらいに設定するのがおすすめです。

    電波をチェックする方法は?

    ドローンの飛行範囲の電波状況は、電波チェッカー、スペクトラムアナライザ、電波チェックアプリで把握可能です。

    電波チェッカー

    電波チェッカーは、目に見えない無線環境を確認することができるツールで、無線の競合等をチェックすることが可能です。

    スペクトラムアナライザ

    スペクトラムアナライザは略してスペアナと呼ばれ、AC電力を周波数別に表示する高感度な測定器です。
    高価なものも多いですが、周波数帯のスペクトル表示に機能を絞った簡易型であれば比較的手頃な値段で手に入れることが可能です。

    電波チェックアプリ

    手軽に利用できるものとしては、スマホアプリで電波をチェックする方法もあります。
    スペアナのような本格的なツールまでは必要ないという方におすすめです。

    まとめ

    今回は、ドローンで注意すべき電波干渉について紹介しました。
    上空では、見えない電波が飛び交うため電波干渉が起きることを想定することが大事です。
    ドローンを飛行させる前には、飛行させる場所の周辺環境を必ずリサーチしておきましょう。
    また、電波をチェックできるツールやアプリなどを用い、電波干渉への対策をしっかりと行いましょう。

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