係留ドローンとは?係留方法や規制緩和について

ドローンを運用する際に手法のひとつに「係留」があります。
皆さんはドローンを係留する方法をご存じでしょうか。
係留と聞くと船を港に繋ぎ止めてられている場面をイメージされる方も多いかもしれませんが、実はドローンも船のように強度な紐やワイヤーで繋ぎ止めながら飛行させる事が可能なのです。
この記事では、ドローン係留とは何か、安全に係留させるためにはどうすれば良いのかを解説します。

ドローンの係留とは

ドローンの係留とはドローンに強度の高い紐やワイヤーで繋ぎ止めながら飛行をさせる事です。
飛行予定範囲に制限をかけたり、落下を防止する事が出来ます。
装備を開発している企業自体が少ないため、まだまだ浸透していない手法ですが法規制やなどにより安全面を考慮すると現場に必要になってきます。

ドローン係留のイメージ

係留に必要なものは固定地点と紐です。
紐の起点となる固定地点を作り、その紐をドローンに括り付けながら走行させます。
国土交通省の発表では、ドローンに括り付ける紐は「十分な強度を有する紐等」と定義されています。
なお自動車や航空機等の移動する物に紐を固定する又は人が紐等を持って移動しながら無人航空機を飛行させる行為は係留には該当しません。
ドローンを係留させる場合は必ず動かない物体を固定地点として設定する必要があります。

係留の目的

ドローンを係留する目的は、ドローンが暴走して想定外の範囲への飛行を防ぐ事です。
ドローンが突如制御不能となり暴走をする可能性は0とは言えません。
ドローンが原因不明の制御不能により事故・紛失につながったという事例は国土交通省に何件も報告されています。
ドローンは突如制御不能となり暴走する危険性があると認識をしておかなければなりません。
ドローンを係留すれば万が一ドローンが暴走した場合や操作を誤ってしまった場合でも、係留範囲内にドローンを止める事が出来ます。

係留する場面

①点検現場
点検現場での係留は利用が一番想定されており、現場が人口集中地区が多く且つ第三者や他建造物から30m以内にも該当します。
また、点検は自然と目視外飛行になる場面も多いため合わせて作業しやすくなります。
②夜間飛行
目視外飛行と同列で現場で想定される方法です。
日中に飛行が難しい場所での点検や夜景の空撮で使用します。
③イベント空撮
「催し場所上空での飛行」では観客の上空での飛行が禁止されています。
指定された飛行範囲から出てしまうことを防ぐために係留が必要になる可能性があります。

規制緩和の内容

2021年9月24日に国交省から航空法の一部改正が公布・施行され、ドローンを係留する事により、今まで一定条件下で必要だったドローンの飛行許可申請が不要になりました。
対象項目は「人口集中地区・夜間飛行・目視外飛行・30m以内の飛行・物件投下」の5種類です。
これらの項目が、規制緩和により係留飛行をすれば許可申請が不要となりました。
国土交通省への飛行許可申請手続きは手間がかる上に、承認に時間を要するため飛行の10日前には申請が必要です。
その手間を省く事が出来ると同時に飛行の安全性も確保出来るという事で、ドローンの係留はより注目をされるようになりました。

係留による飛行許可申請免除のために必要な条件

①係留で利用する紐は長さ30m以下のものを利用する

飛行許可申請が免除されるにはドローンに括り付ける紐の長さを30m以内に制限しなければなりません。
逆に30m以上の飛行の場合には通常通り飛行許可申請が必要となります。

②飛行範囲内(30m以内)に第三者の立入制限を行う

係留する場合は飛行範囲内に人が立ち入らないようにする必要があります。
人の配置は必須ではありませんが、看板やコーンを設置する事により人が必ず入って来ず安全性が確実に確保される状況を作る必要があります。

係留時の注意点

法的にも実務的にもドローンが利用しやすくなる一方で、もちろん注意点もあります。
紐やワイヤーを使用するためプロペラに絡まないよう常に程よいテンションをかける、機体付近のワイヤーを固めて風で煽られないように処置を施す等現場に合わせた方法で対処しましょう。
他にも移動時は常にワイヤーが空中に垂れていますので第三者や障害物に接触しないよう必ずアシスタントを配置し注意喚起や誘導を行います。
またドローンを安全に飛行させるには市販の係留装置を手配しましょう。
専用の係留装置はテンションを自動で調節してくれる機能があり、紐の巻き込みや引っ張りによる暴走リスクを防ぐ事ができるからです。

まとめ

以上、今回はドローンの係留についてご紹介しました。
ドローンの係留飛行を活用する事により今までより安全にドローンを走行させる事が可能になります。
また、一定の条件を守れば国土交通省への飛行許可申請が免除されより円滑にドローンを活用する事が出来ます。
飛行しやすくなったことによりドローン操縦士の需要もより高まってくるかと思います。

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